言わずもがな、女性に比べて、男性の装飾品は数少ない。
その代表的なものといえば、やはり腕時計だろう。
リシャール・ミル、パテックなどの愛機たちは、
僕の見てくれだけでなく、心をも豊かにしてくれる、
いわばラグジュアリーを超えた存在だ。
そして靴にも、今の自分になくてはならない特別な存在がある。
それが、ベルルッティだ。
美しくパティーヌされたベルルッティの靴を履くたびに気分が高揚するし、
男に生まれてきたことを喜ばしく思う、という表現も決して大袈裟ではない。
だから、ベルルッティのウィメンズ コレクションが
デビューすると聞いたときは、正直、複雑な気持ちになった。
ある程度、フェミニンに振ったデザインであれば、
まだ“男としての優越感”に浸り続けることができただろう。
だが、オルガ・ベルルッティは、そうはしなかった。
もちろん、メンズとは異なる木型を使ってはいるものの、
写真右の靴は、僕自身もこよなく愛する名靴「アンディ」そのものだし、
左の「クラシック スリッポン」にはカリグラフィーも健在だ。
過去には、グレタ・ガルボ、パティ・スミス、ソフィー・マルソーなど、
名だたるファッション&カルチャーアイコンたちが
ビスポークや特注品を愛用したという。
ベルルッティの技術と伝統は、
ウィメンズ コレクションでも頑なに守り続けられている。
靴はもちろんだが、個人的には小物にも注目したい。
鮮やかなグラデーション、繊細なカリグラフィーが表現された
バッグや財布、カードケースなどは、
当然、女性にもラグジュアリーな色気をもたらすはずだ。
彼女が好きな色のパティーヌを施した、
同じものはひとつとして存在しない、唯一無二のベルルッティを贈る。
そんなロマンティックな演出が可能になったことは、
男性にとって朗報かもしれない。