ベルルッティのブランドを象徴するヴェネチアカーフで張り替えたピエール・ジャンヌレのオリジナル家具17点が展示される。
展示されるのは、デザインマイアミ/アートバーゼル・マイアミビーチだ。
これらは、ベルルッティのクリエイティブ・ディレクターであるクリス・ヴァン・アッシュ氏と、ギャラリーダウンタウンのフランソワ・ラファヌール氏との協力で、スイス生まれの建築家ピエール・ジャンヌレ氏が1950年代にインド、チャンディーガルのキャピトル・コンプレックス建設で手掛けたオリジナル作品群の一部だ。
ベルルッティ×ギャラリーダウンタウンのシリーズは、収集価値の高い17のオリジナル作品群からなり、基本建物のデスク、イージーアームチェア、対のシネマチェア、ハイコートチェア、カンガルーチェア、ジャッジアームチェア、対のライブラリーチェア、フォールディングスクリーン、デイベッド、対のコミッティーチェア、パブリックベンチ、ブルーのライティングチェアなどがある。
当時、ジャンヌレ氏は、家具デザイナーとして確固たる実績があり、1928年には、ル・コルビジェとシャルロット・ペリアンとの協業で有名になった、ガラス、スチール、レザー素材を用いた全く新しい視点からデザインを行った家具シリーズを考案している。
チャンディーガルの都市計画の為だけでなく現地でも官民含め様々な建物のアームチェアやテーブル、ベンチ椅子など、家具シリーズの開発を行っているのだ。
これらの家具は、現地の職人技術と地域で調達可能な素材をもとに、基本原理にのっとったしっかりとした作りだ。
チークの無垢材を使った、主にX、U、Vなどの形状を取り入れたフォルムが特徴的で、座面は籐やラスのほか、明るい色や暗い色のビニールやレザー素材が使われている。
ラファヌール氏は、これらの作品を保全基準に従って慎重に修復し、作品の美しさは、オリジナルの状態、歴史、どのように使われてきたかにもあると考え、穴や木部の後などは、そのまま残されているそうだ。
硬材を用いた部分は寿命が長いため、このような由緒ある家具では、通常座面などの部分だけが交換される。
デスクトップ、スクリーンパネル、クッションや椅子の座面には、ベルルッティを象徴するヴェネチアカーフレザーで張り替えられている。
一度、座ってみたくなる。
このレザー、今回の作品群のために、クリス・ヴァン・アッシュ氏が新色を開発したものだ。
一部は、ル・コルビジェが1931年と1959年に設計した2つのカラーコレクションから、また、最近アッシュ氏自身がチャンディーガルに旅した時の光の具合や建築物、景色から発想を得て考えられたそうだ。
手作業で染めていくベルルッティのパテーヌが、深みのある色と柔らかなクッションの曲線を引き立たせている。
今回17の作品があるが、クリス氏は18のカラーバリエーションを選定していて、同じ色は一つとして存在しないそうだ。
ピエール・ジャンヌレのコレクターでもあるクリス氏と、フランソワ・ラファヌール氏は交友があり、好みが似ているらしい。
ベルルッティのクリエイティブを主導する立場にある前から、クリス氏の頭の中ではピエール・ジャンヌレの家具とベルルッティのDNAとはつながるものと考えていたそうだ。
相思相愛で誕生した作品群というわけだ。
これらの作品は、製造時につけられた番号に加え、新たなレザー部分にベルルッティの番号が記されている。
ますます見てみたくなる。
展示は、デザインマイアミ/アートバーゼル・マイアミビーチのマイアミデザイン・エリアだ。
期間は、2019年12月2日~8日の予定。